肝胆膵第77巻第2号
TACEによる肝予備能低下―ALBI score/gradeによる評価―
電子書籍のみ
- 平岡 淳,他(愛媛県立中央病院)
- 発行日:2018年08月28日
- 〈要旨〉
BCLC分類Bの切除不能肝細胞癌に対して肝動脈塞栓術(TACE)は広く施行されている.近年,TACE不応の概念も提唱されるようになり,予後改善を目指してTACE不応を呈する場合はソラフェニブに早期に治療を切り替えるべきであるとされ,分子標的薬はChild-Pugh Aにおける使用が推奨されている.近年,アルブミンと総ビリルビンを用いて計算された連続変数であるALBI scoreを元にした予備能評価方法であるALBI gradeが提唱された.ALBI gradeはChild-Pugh分類と比べて,より予備能のよい症例の抽出に優れているとされる.BCLC分類B肝癌に対するTACE不応後の予後においても肝予備能を考慮して治療戦略を立てることは重要である.TACE経過中により鋭敏に予備能の変化を捉えることができるALBI score/gradeは臨床に有用なツールとなる.
詳細
Decline of hepatic reserve function due to repeated TACE procedures: evaluation with ALBI score/grade
平岡 淳*1 道堯 浩二郎*1 熊田 卓*2 工藤 正俊*3
*1愛媛県立中央病院消化器病センター内科
*2大垣女子短期大学
*3近畿大学医学部消化器内科