肝胆膵第81巻第2号
膵石の疫学-発癌リスクも含めて
電子書籍のみ
- 菊田 和宏,他(東北大学)
- 発行日:2020年08月28日
- 〈要旨〉
膵石は慢性膵炎の代表的な合併症の一つである.その合併頻度はアルコール性で33~90%,特発性で31~63%であり,アルコール性で高い傾向にある.膵石形成の危険因子の一つとして喫煙が知られている.近年,自己免疫性膵炎においても長期経過観察例で膵石の合併が知られるようになり,その合併頻度は4.8~40.6%と報告されている.自己免疫性膵炎の膵石形成に関連する因子として,膵頭部病変,膵萎縮,胆管病変,再燃,アルコールなどが報告されている.膵石症における膵癌の合併頻度は0.8~25.0%と報告されている.膵石症の診断と経過観察にあたっては,膵癌の存在を常に念頭に置く必要がある.
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Epidemiology of chronic pancreatitis and pancreatic stones
菊田 和宏 正宗 淳
東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野