肝胆膵第75巻第2号
肝動脈化学塞栓術からソラフェニブへの切り替えのタイミング
電子書籍のみ
- 小笠原 定久,他(千葉大学)
- 発行日:2017年08月28日
- 〈要旨〉
肝動脈化学塞栓術(TACE)からソラフェニブへ適切なタイミングで切り替える治療戦略は,ソラフェニブ登場後に考案され,「TACE不応の定義」として本邦から世界に先駆けて発信された治療コンセプトである(表1).ソラフェニブ承認後8年以上が経過し,TACEの治療効果が期待できなくなった時点でのソラフェニブへの切り替えは,肝細胞癌治療において主流になりつつある.今後,肝細胞癌に対して複数のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)が使用可能となった際には,臨床経過でそれらの薬剤を使い切ることが予後延長に寄与する可能性が高く,今まで以上に適切なタイミングでTACEからTKIへ切り替えることが治療戦略の鍵になることが予想される.そのような時代を見据えて,本稿で改めて「TACE不応の定義」の治療概念とそのタイミングの妥当性を振り返る.
詳細
The suitable timing of the conversion from TACE to sorafenib
小笠原 定久*1,2 千葉 哲博*1 齊藤 朋子*1 鈴木 英一郎*1 大岡 美彦*1 太和田 暁之*1 横須賀 收*3,4 加藤 直也*1
*1千葉大学大学院医学研究院消化器内科学
*2千葉大学医学部附属病院臨床試験部
*3地域医療機能推進機構船橋中央病院
*4千葉大学