臨床精神医学第52巻第5号
MUSUBI プロジェクトの結果とガイドライン
電子書籍のみ
- 坪井 貴嗣(杏林大学)
- 発行日:2023年07月28日
- 日本臨床精神神経薬理学会と日本精神神経科診療所協会が双極性障害患者における抗うつ薬の適正使用合同プロジェクトを2015年より開始した。本プロジェクトの目的は,本邦の双極性障害外来患者に対し抗うつ薬が適正に使用されているかを調査するのが発端ではあったが,双極性障害患者に関する臨床現場の実態を把握することを主目的とし,MUSUBIプロジェクトと名付けられた。本稿では現段階で国際誌にアクセプトされた13本の論文について,ベースライン調査,1 年後調査,3 年後調査の順に概要の解説を行った。いずれの研究も後方視的な調査であるため限界点が多いものの,双極性障害Ⅰ型とⅡ型の処方パターンの違い,抗うつ薬処方の実態とその臨床的特徴,急速交代型や気分安定型に関する証左,双極性障害患者の本邦の就労状況と継続関連因子など,本邦での実態が明らかになっており,今後なんらかの形でガイドラインに反映されることが期待される。
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Introduction to the MUSUBI project and its implications for future guidelines for bipolar disorder
坪井 貴嗣
杏林大学医学部精神神経科学教室