臨床精神医学第52巻第5号

統合失調症におけるシナプス自己抗体の役割

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  • 塩飽 裕紀(東京医科歯科大学)
  • 発行日:2023年05月28日
  • 抄録:脳炎患者からシナプス自己抗体が発見されてきたことを背景に,それらの自己抗体を背景とした急性の脳症で精神病を主症状とした自己免疫性精神病が提唱されている。自己免疫性精神病が慢性化したり,脳波異常などが減弱したケースを統合失調症と呼んでいるケースは理論的にあり得るだろう。さらに,脳炎から新規シナプス自己抗体が発見されてきたことと同様に,統合失調症からもそのような新規自己抗体が発見される可能性がある。われわれは,統合失調症患者のスクリーニングから抗NCAM1自己抗体を発見し,これが分子・細胞・行動レベルで病態を形成することを示した。これらの病態背景には,分子機能阻害,ミクログリア,血液脳関門の破綻などさまざまな病態が関与していることが考えられる。これらの新規シナプス自己抗体が統合失調症の症状に関与しているかは,自己抗体を除去する臨床研究で明らかになると同時に,そのような治療が将来的に提案される可能性がある。

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The role of synaptic autoantibodies in schizophrenia
塩飽 裕紀
東京医科歯科大学大学院精神行動医科学分野