臨床精神医学第52巻第5号
グルタミン酸仮説に基づく新規統合失調症治療薬の創製
電子書籍のみ
- 茶木 茂之・他(大正製薬株式会社)
- 発行日:2023年05月28日
- 抄録:統合失調症の病態仮説としてグルタミン酸神経機能異常をその原因とする「グルタミン酸仮説」が提唱され,本仮説に基づいた新規統合失調症治療薬の開発が活発に行われている。その中からグループⅡ代謝型グルタミン酸受容体作動薬であるpomaglumetadおよびグリシントランスポーターⅠ阻害剤であるbitopertinが創製され,それぞれ臨床試験が実施されたが,必ずしも一致した有効性が示されるに至っていない。一方,これらの試験から,標的分子およびコンセプトに基づく薬効用量の設定,対象とする患者の層別化や評価尺度の選定を考慮した開発計画の重要性が指摘されている。これらをふまえ,上記標的分子に作用する薬剤の開発が引き続き実施されており,さらに,グルタミン酸仮説に基づく他の標的分子に作用する薬剤開発も進められている。グルタミン酸仮説から新しい治療薬が創製され,統合失調症治療に貢献することが期待される。
詳細
The development of novel antipsychotics based on glutamate hypothesis of schizophrenia
茶木 茂之*1 神辺 太樹*2
*1大正製薬株式会社医薬研究本部
*2同 医薬開発本部