臨床精神医学第52巻第5号
統合失調症の次世代ドパミン仮説
電子書籍のみ
- 栁下 祥(東京大学)
- 発行日:2023年05月28日
- 抄録:抗精神病薬がドパミンD2受容体(D2R)を標的とした阻害作用を有することなどから,統合失調症の病態にドパミン過剰が関与すると長らく考えられてきた。しかし,ドパミン過剰は脳状態であり,病因の説明ではないため,病態の説明としては不十分であった。一方,この20年ほどの神経科学の進展から行動中のドパミン動態の特性とその動態を検出する分子細胞機序の理解が進んできた。これらドパミン動態理解に基づくと,遺伝的な素因と環境要因の相互作用点としてドパミン系を考えることができる。そこで本稿では病因からドパミン過剰状態や症状を説明するモデルとしてドパミン仮説の更新を提案したい。
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Update of dopamine hypothesis
栁下 祥
東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター構造生理学部門