臨床精神医学第52巻第5号

統合失調症における自我障害の神経科学的な理解

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  • 大井 博貴・他(慶應義塾大学)
  • 発行日:2023年05月28日
  • 抄録:統合失調症における自我障害は,主観的体験であるため,これまで自然科学の対象とすることはできなかった。そこで近年注目されているのが,自我障害について神経科学的観点から捉えたSense of Agency(SoA)というパラダイムである。SoAとは,自己の行為と,それに伴って生じる外界の変化を自己の意志のとおりに制御できるという感覚のことである。この「行為に伴う自己意識」については実証的に評価できるため,統合失調症患者を対象とした行動実験が行われ,SoA異常が報告されてきた。脳内でSoA異常が生じるメカニズムについては,ベイズ推論を中心とした計算論的精神医学の観点から考察されている。この計算論的精神医学とSoA研究,さらに神経生理学的研究も組み合わせることで,包括的に病態研究を進めることができるため,今後の発展が期待される。本稿では,統合失調症におけるSoA研究やその計算論的な説明について概説する。

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Neuroscientific understanding of self-disturbances in schizophrenia
大井 博貴 前田 貴記
慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室