臨床精神医学第52巻第5号
併用という選択肢は本当に適切なのか?
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- 菅原 典夫・他(獨協医科大学)
- 発行日:2023年07月28日
- 精神科薬物療法において,向精神薬の併用は一般的には避けるべきものとされる。しかし,臨床の現場においてしばしばそれを目にするだけでなく,診療ガイドラインにおいても推奨される併用療法が存在するのが現状である。この背景として,単剤治療だけでは目標とする水準の改善を得られない症例の存在が考えられる。とはいえ,併用療法には薬物相互作用による有害事象の発生などが懸念される。併用療法を推奨する前提として,有効性が明らかにされていることだけでなく,有害事象の増加が単剤と比べて許容できる水準であることが示される必要がある。本稿では,日本うつ病学会診療ガイドライン双極性障害(双極症)2023の改訂を受け,双極性障害の治療において適切とされる併用療法はどのようなものであるかを,Ⅰ型障害を中心に躁病・抑うつエピソードの治療と維持療法について概観する。
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Combination strategies of psychotropics in treatment for bipolar disorder are appropriate?
菅原 典夫 古郡 規雄
獨協医科大学精神神経医学講座