臨床精神医学第49巻第11号

強迫スペクトラム障害の概念とその病態

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  • 松永 寿人(兵庫医科大学)
  • 発行日:2020年11月28日
  • 〈抄録〉
    強迫スペクトラム障害(obsessive-compulsive spectrum disorder ; OCSD) は,1990年代初めHollanderらが提唱したもので,強迫症(obsessive-compulsive disorder ; OCD)を中核とし,「とらわれ」,「繰り返し行為」を症候学的特徴として共有する疾患群である。OCSDには,摂食障害や衝動制御障害,行動嗜癖,チックやトゥレット障害,自閉症などが含まれカテゴリー横断的な特性を有しており,その多様性や強迫性-衝動性といった連続性は広範に及ぶ。DSM-5改訂プロセスでは,OCDを不安障害として捉えることの限界から,この概念が注目された。結果的に,OCSD概念を基盤としOCDや身体醜形症,抜毛症,皮膚むしり症,ためこみ症などからなるobsessive-compulsive related disord(erOCRD)カテゴリーが新設され,ほかの不安障害から分離された。しかしながら,「とらわれ」や「繰り返し行為」は非特異的精神症状であり,関連する皮質-線条体系の機能異常も多彩な精神疾患で観察される。このため,OCRDの臨床的有用性の検証に加え,類似した臨床像を伴うほかの精神疾患との関係性が今後の課題となろう。

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Diagnostic concept and neurobiological aspects of obsessive-compulsive spectrum disorder
松永 寿人
兵庫医科大学精神科神経科学講座