肝胆膵第80巻第1号

膵癌術後補助療法の無作為化比較試験(RCT)

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  • 伊藤 貴明,他(静岡県立静岡がんセンター)
  • 発行日:2020年01月28日
  • 〈要旨〉
    これまでの臨床試験の結果に基づき,膵癌診療ガイドライン(2019年度版)では,膵癌術後補助化学療法のレジメンとして,S-1単独療法およびゲムシタビン塩酸塩(GEM)単独療法を推奨している.最近注目すべき膵癌術後補助療法の無作為化比較試験(RCT)の一つに,GEMとmodified FOLFIRINOX(mFFX)を比較したPRODIGE試験がある.全生存期間中央値は,GEM群35か月,mFFX群54.4か月(ハザード比0.64,p=0.003),無病生存期間中央値は,GEM群12.8 か月,mFFX群21.6か月(ハザード比0.58,p< 0.001)であり,mFFX療法がGEM単独療法よりも有意に生存成績を改善させることが示された.さらに2019年,GEMとGEM+ナブパクリタキセル(GnP)併用療法を比較したAPACT試験の結果が発表された.主要評価項目である無病生存期間中央値はGEM群18.8か月,GnP群19.4か月であり,有意差が得られるには至らなかった.現在欧米では,術後補助化学療法のレジメンは,ESPAC-4試験の結果も合わせ,GEM,GEM+カペシタビン(CAP)併用療法,mFFXが標準的と考えられている.これに対して日本では,主として保険未収載の点から,mFFXとGME+CAPについては,膵癌診療ガイドラインでも「行うことを提案する」(弱い推奨)にとどまっている.

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Randomized control trial of adjuvant chemotherapy for resected pancreatic cancer
伊藤 貴明*1 杉浦 禎一*1 岡村 行泰*1 山本 有祐*1 蘆田 良*1 大木 克久*1 坂東 悦郎*2 塩見 明生*2 寺島 雅典*2 上坂 克彦*1
*1静岡県立静岡がんセンター肝胆膵外科
*2同 消化器外科