臨床精神医学第47巻増刊号
どんなときに抗精神病薬に抗パーキンソン薬を併用するか
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- 山本 暢朋ほか(榊原病院)
- 発行日:2018年12月28日
- 〈抄録〉
第二世代抗精神病薬が汎用される現在でも,薬原性錐体外路症状の発現はみられ,患者の苦痛や服薬アドヒアランス低下の原因となるため,適切な対応が求められる。抗パーキンソン薬は,薬原性錐体外路症状の出現時,特に振戦,アカシジア,ジストニアなどの急性錐体外路症状の発現時やその予防投与として用いられるが,便秘,口渇,尿閉や,認知機能障害,せん妄といった抗コリン性副作用に加え,乱用の危険性にも配慮する必要がある。共有意思決定(shared decision making)の観点からは,抗パーキンソン薬を併用できる臨床場面においては,併用のメリット,デメリットの双方を十分に説明したうえで,併用投与の是非を患者とともに決定することになるが,副作用を考慮すれば,長期にわたる予防投与は可能な限り控えるべきである。併用を希望する患者に対しては,そのデメリットについて患者自身が十分に理解したうえで判断したのかを確認することも重要である。
詳細
What kind of clinical situations should the concomitant use of antiparkinsonian agents with antipsychotics be performed
山本 暢朋*1 稲田 俊也*2
*1独立行政法人国立病院機構榊原病院精神科
*2名古屋大学大学院医学系研究科精神生物学