臨床精神医学第49巻第2号
精神医学におけるゲノム医療─令和時代への展望─
電子書籍のみ
- 木村 大樹・他(名古屋大学)
- 発行日:2020年02月28日
- 〈抄録〉
ゲノム解析技術の進歩と国際コンソーシアムによる大規模ゲノム解析,疾患横断的ゲノム解析で得られたゲノム情報に,人工知能技術を活用した解析を加えることで,精神疾患関連ゲノム変異が近年,次々と同定されてきている。今後,これらの精神疾患関連ゲノム変異に加え,ゲノム変異に紐づく詳細な臨床表現型データベースとゲノム変異に基づくリソースが拡充されることで,個々人のゲノム情報から,病態に基づく診断法,治療薬の提案が可能となる時代が来ると予想されるが,そのためには国内外の連携研究体制を築くことが必要である。精神疾患のリカバリーの概念が隆盛し,精神疾患を抱える当事者がいかに自分らしい生活を送ることができるかが問われる令和時代において,自身のゲノム情報を知ることは,治療選択を含めた意思決定に役立たせることができると考えられる。そのためには,ゲノム情報とその意義を,当事者とその家族がいかに役立たせるのかが課題となり,遺伝カウンセリングの重要性はいっそう高まる。
Genomic medicine of psychiatry in the Reiwa era
詳細
木村 大樹*1,2 尾崎 紀夫*1,3,4
*1 名古屋大学大学院医学系研究科精神医学・親と子どもの心療学分野
*2 カリフォルニア大学サンディエゴ校精神科
*3 名古屋大学医学部附属病院ゲノムセンター
*4 名古屋大学脳とこころの研究センター