肝胆膵第82巻第1号
どのような急性膵炎が再発や慢性膵炎に移行するのか
電子書籍のみ
- 上野 真行,他(倉敷中央病院)
- 発行日:2021年01月28日
- 〈要旨〉
急性膵炎の約20%は再発し,再発性膵炎と呼ばれる.約1/3の再発性膵炎患者が慢性膵炎を合併し,その結果として生じる長期予後や生活の質の悪化が問題となっている.膵炎再発のリスク因子として若年,男性,局所合併症や臓器障害の合併,飲酒や喫煙といった生活習慣が知られている.飲酒者が喫煙すると再発リスクがさらに上昇するため,アルコール性急性膵炎患者に対しては禁酒指導のみでなく禁煙指導も重要である.また急性膵炎後に糖尿病を発症する症例も少なくない.われわれの検討では,複数因子の中で複数回の膵炎再発が糖尿病発症のリスク因子として最も重要と考えられた.今後は国内のデータを前向きに収集し,膵炎再発や慢性膵炎への移行を予防するための適切な介入策を考案・実践していきたい.
詳細
Long-term outcomes of acute pancreatitis: risk factors for recurrent and chronic pancreatitis
上野 真行*1 辻 喜久*2 上西 陽介*1 石田 悦嗣*1 水野 元夫*1
*1倉敷中央病院消化器内科
*2札幌医科大学医学部総合診療医学講座