肝胆膵第81巻第5号
レンバチニブのreal-world data-至適RDIの検討-
電子書籍のみ
- 恵荘 裕嗣(京都大学)
- 発行日:2020年11月28日
- 〈要旨〉
薬物治療においては,治療前の患者状態の的確な把握および開始後の十分な有害事象(AE)管理により治療強度を維持することが重要である.肝癌に対する分子標的治療においても治療強度の指標であるrelative dose intensity(RDI)と治療効果との相関が明らかにされており,至適RDIを把握することはAE管理や減量休薬判断において非常に重要である.当院におけるレンバチニブ治療データから至適RDIにつき検討した.治療解析から2か月間のRDI(2M-RDI)のcut-off = 62.5%と設定するとAUROC= 0.831となり,さらに高2M-RDI群(≧ 62.5%)は低2M-RDI群と比較して有意に無増悪生存期間の延長を認めた(p= 0.023).さらにRDIの高値維持に寄与する因子につきロジスティック回帰分析を行ったところ,肝疾患患者の重要な栄養指標の一つであるBCAA/チロシン比≧4.50が有意因子として検出された(p= 0.026).レンバチニブ治療においては2M-RDI≧ 62.5%を得られるよう治療前からの栄養管理,および開始後に適切なAE管理を行うことが,奏効率および無増悪生存期間の向上につながると考えられる.
詳細
Optimal relative dose intensity in the treatment with lenvatinib for hepatocellular carcinoma
恵荘 裕嗣
京都大学大学院医学研究科・消化器内科学