肝胆膵第81巻第5号
肝癌診療マニュアル第4 版の要約-TACE不適の概念とTACE不適intermediate stage 肝癌の治療方針-
電子書籍のみ
- 工藤 正俊(近畿大学)
- 発行日:2020年11月28日
- 〈要旨〉
「肝癌診療マニュアル」の第4版が2020年に発刊された.この書籍内の「TACE不適の概念とTACE不適intermediate stageの肝癌治療方針」の抜粋を述べることとする.ここではconsensus statement 1として「TACE不応後はすみやかに分子標的薬に切り替えるべきである」,Consensus statement 2として「TACEでbenefitを受けない病態(TACE不適)とは以下の3つの病態を指す.①TACE不応になりやすい病態,②TACEにより肝予備能がChild-Pugh Bに移行しやすい病態,③TACEの効果が期待できない病態,の3つである」,Consensus statement 3として「TACE不適の病態に関しては肝予備能の低下により分子標的薬への導入が不能となる場合が多いためTACE不応まで待たずに早めに分子標的薬に切り替えるべきである」,と3つがあげられている.これらの概念はAPPLEのconsensus statementとして,アジアのconsensusとなり,さらにはAASLDのガイドラインの中にも取り入れられ,世界の中でTACEの不適の概念とその治療方針はintermediate stage肝癌における共通認識となりつつある.
詳細
Summary of practice manual of hepatocellular carcinoma
工藤 正俊
近畿大学医学部消化器内科