肝胆膵第81巻第5号

  • 特集/肝細胞癌治療のパラダイムチェンジ−進化する薬物療法2020 Update PartⅡ−(分子標的治療)
  • 発行日:2020年11月28日
  • <企画趣旨>
    2019年ESMO Asiaにてアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法のpositive 結果が報告され,いよいよ日本においても免疫チェックポイント阻害剤(+アバスチン)が使用できる状況となってきた.このIMbrave150試験は第一回目の中間解析にてOS, PFS, ORR, QOL,有害事象などすべてのendpointにおいて有意に対照薬を上回る結果を示したため市販後は進行肝細胞癌に対する薬物治療の第一選択となることは間違いない.しかし一方では20%の症例がbest responseでPDであり少数ながら最初から全く効果のない集団も存在する.また,アテゾリズマブ+ベバシズマブでもいつかはPDとなる症例もあるのでその後の分子標的薬によるsequential治療がさらに重要となる.またカボザンチニブについては日本がGlobal試験に参加できなかった為,欧米に遅れをとっているがBridging phase 2試験の結果により承認されることが期待されている.また現在Early, Intermediate, Advancedの全てのstageで第3相臨床試験が進行中であり,今後、肝細胞癌の治療戦略は大きく変わっていくものと考えられる.肝細胞癌に生存延長効果が認められる薬物がこれだけ多く登場すると最も重要なことは肝予備能の維持である.日本においては90%以上がEarly stageもしくはIntermediate stageの段階で肝癌が検出され治療される.従って特にIntermediate stageの段階でrisk benefit (奏効と肝予備能低下)を見極めてTACE overuseで肝機能を落とさないことが最も肝要になってきている.実際にTACE不適Intermediate stage肝癌(特に両葉多発結節)では、肝予備能を落とさず,かつ高いレスポンスが期待できる治療戦略,レンバチニブ先行TACE治療(LEN-TACE sequential therapy)へのパラダイムシフトが起きている.本特集では様々な分子標的薬の臨床試験のサブ解析やreal world dataから得られた最新の知見をまとめ今後の肝細胞癌治療を広く展望したい.

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〈目次〉

〔巻頭言〕今後の分子標的治療薬の役割 武蔵野赤十字病院 泉 並木

特別座談会
免疫療法時代における分子標的治療の今後を考える (司会)工藤 正俊(近畿大学)/古瀬 純司(杏林大学)/山下 竜也(金沢大学)/森口 理久(京都府立医科大学)

・ 総論:肝細胞癌の分子標的治療のupdate
 分子標的治療薬により肝癌の予後は向上したか−シークエンシャル治療の重要性− 近畿大学 工藤 正俊
 Intermediate stage肝癌の治療変革 近畿大学 工藤 正俊
 薬物療法による奏効は予後延長のpredictive/prognostic factorか 近畿大学 工藤 正俊
 APPLE consensus statementの要約 近畿大学 工藤 正俊
 肝癌診療マニュアル第4版の要約−TACE不適の概念とTACE不適intermediate stage肝癌の治療方針− 近畿大学 工藤 正俊
 米国肝臓学会(AASLD)のposition paper−expert panelの推奨− 近畿大学 工藤 正俊

・ レンバチニブ
 REFLECT試験のサブ解析 近畿大学 上嶋 一臣,他
 レンバチニブのreal-world data−intermediate stage HCCへの有効性− 徳島大学 友成 哲
 レンバチニブのreal-world data−肉眼分類・腫瘍分化度別の有効性− 虎の門病院肝臓センター 川村 祐介
 レンバチニブのreal-world data−LEN-TACE sequential療法− 広島大学 相方 浩,他
 レンバチニブのreal-world data−REFLECT outへの有用性− 北海道大学 荘 拓也
 レンバチニブのreal-world data−肝予備能への影響(ソラフェニブとの比較)− 金沢大学 山下 竜也,他
 切除不能肝細胞癌へのPD-1/PD-L1療法不応後二次治療として投与したレンバチニブ逐次治療の有効性 近畿大学 青木 智子,他
 レンバチニブのreal-world data−至適RDIの検討− 京都大学 恵荘 裕嗣

・ ソラフェニブ
 臨床試験における対照薬としてのソラフェニブの生存率の変遷とその解釈 神奈川県立がんセンター 森本 学,他
 ソラフェニブのreal-worldでの使用経験−12年の振り返り− 千葉大学 小笠原 定久,他
 ソラフェニブが1st choiceとして適切な患者集団 九州医療センター 和田 幸之,他
 ソラフェニブの有害事象と予後 横浜市立大学附属市民総合医療センター 小宮山 哲史,他

・ レゴラフェニブ
 ソラフェニブ耐性に対するレゴラフェニブの作用機序 金沢大学 山下 太郎
 レゴラフェニブのreal-world data−RESORCE-outへの有効性− 藤田医科大学 葛谷 貞二,他
 レゴラフェニブのreal-world data−REFINE試験の中間解析− 武蔵野赤十字病院 黒崎 雅之
 Real-worldにおけるソラフェニブ-レゴラフェニブsequential治療 愛媛県立中央病院 平岡 淳,他
 ソラフェニブ-レゴラフェニブsequential治療に適した患者像 京都府立医科大学 森口 理久,他
 レゴラフェニブの有害事象と予後 大阪国際がんセンター 大川 和良,他

・ ラムシルマブ
 REACH/REACH-2試験のサブ解析 神奈川県立がんセンター 小林 智
 REACH/REACH-2試験におけるintermediate stage HCCへの有用性と治療関連腹水の臨床的意義 武蔵野赤十字病院 土谷 薫,他
 ラムシルマブの日本人における高い有効性 近畿大学 南 康範,他
 ラムシルマブのreal-world data−レンバチニブ後のラムシルマブ− 藤田医科大学 葛谷 貞二,他

・ カボザンチニブ
 CELESTIAL試験の総括とサブ解析 北海道大学 小川 浩司,他
 肝細胞癌に対するカボザンチニブの国内第Ⅱ相試験結果 大阪市立大学 萩原 淳司

・ ASCO2020 の他のトピックス
 新しい分子標的治療薬−donafenibとapatinib− 久留米大学 鳥村 拓司
 DEB-TACE vs. cTACE−JIVROSG-1302 PRESIDENT study− 国立がん研究センター東病院 池田 公史,他
 肝切除後の再発高リスク群に対するTACE+レンバチニブ併用療法 国立がん研究センター中央病院 佐竹 智行,他