肝胆膵第77巻第3号

自己免疫性膵炎と膵癌

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  • 平野 賢二,他(東京高輪病院)
  • 発行日:2018年09月28日
  • 〈要旨〉
    自己免疫性膵炎(AIP)と膵癌ないし全発癌との関連は大きな関心事である.AIPからの膵癌発生については有意に多いと結論できる材料に現時点では乏しく,AIPが膵癌のハイリスク因子とまではいえない.全発癌については発癌が有意に多いと結論する論文とそうでない論文の両方があり,やはり未解決の問題である.AIPの中長期の経過観察中に発癌するケースより,AIPと癌が同時期ないし近い時期に診断されるケースの方が多く,AIPからの発癌の主たる機序が慢性炎症とは考えにくい.AIPの一部は癌のparaneoplastic syndromeとして発症するという仮説は同時期診断が多いという現象を説明可能にするが,同時期発癌の取り扱いはさまざまな難しい問題を含み注意が必要である.

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Autoimmune pancreatitis and pancreatic cancer
平野 賢二*1,2 渡邉 健雄*1 成瀬 奨*1 池田 重人*1 矢野 貴彦*1 前川 久登*1 水野 卓*2 中井 陽介*2 小池 和彦*2
*1東京高輪病院消化器内科
*2東京大学医学部消化器内科