肝胆膵第77巻第3号
B型肝炎ウイルスの感染から肝細胞癌に至るまでのメカニズム−B型肝炎による肝癌はなぜ減らないのか−
電子書籍のみ
- 井上 淳,他(東北大学)
- 発行日:2018年09月28日
- 〈要旨〉
近年の日本ではC型肝炎ウイルスによる肝癌が減少傾向にある一方で,B型肝炎ウイルス(HBV)による肝癌は減少していないのが現状である.B型肝炎は核酸アナログ製剤の投与によりウイルス複製を抑制し炎症を沈静化させることができるが,高齢者や肝線維化進展例では特に肝発癌を十分制御できないことがわかっている.また,B型肝炎では慢性炎症のみでなくウイルスゲノムの組み込みやウイルス蛋白自体の肝癌促進メカニズムも存在する.HBVによる肝癌を減少させるには感染予防とウイルスの完全排除が可能な治療法の開発が必要である.
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Mechanisms of hepatocellular carcinoma development from hepatitis B virus infection
井上 淳 二宮 匡史 正宗 淳
東北大学病院消化器内科