Bone Joint Nerve通巻第8号第3巻第1号
サルコペニアの定義や診断基準
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- 原田 敦(国立長寿医療研究センター)
- 発行日:2013年01月10日
- 〈抄録〉
サルコペニアが筋量だけで判定される時代は過去のものとなりつつあり,最近の欧州コンセンサスの定義は,“サルコペニアは,身体的な障害や生活の質の低下,および死などの有害な転帰のリスクを伴うものであり,進行性および全身性の骨格筋量および骨格筋力の低下を特徴とする症候群である” とされ,診断基準も提示された.欧州基準と最新のもう1つの基準は,筋量と歩行速度を扱うことでは共通している.筋量は四肢骨格筋量やそれを身長補正した骨格筋量指標(SMI)が信頼度の高い指標とされる.日本人SMI のYAM-2SD の値として,男性が6.87 kg/m2,女性が5.46 kg/m2 が使用可能である.歩行速度は0.8 m/sec から1 m/s まで,まだ一定していない.筋力も欧州基準では,スクリーニングに使用されるが,もう1 つのものでは採用されていない.このようにサルコペニアの定義や診断基準はまだ流動的であるが,筋量と歩行機能が基本となる趨勢である.
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Clinical definition and diagnostic criteria for sarcopenia
原田 敦
国立長寿医療研究センター・先端診療部