臨床精神医学第47巻第4号
総ビリルビン,直接ビリルビン,間接ビリルビンの異常
電子書籍のみ
- 莖田 昌敬ほか(愛媛大学)
- 発行日:2018年04月28日
- 〈抄録〉
高ビリルビン血症は皮膚や粘膜にビリルビンが過剰に沈着し,黄疸を呈する。高ビリルビン血症自体が黄疸以外に臨床上特別な問題になることは少ないが,一方で高ビリルビン血症を呈する疾患が問題である。そのため,高ビリルビン血症を呈した場合には,必ず背景に存在する病態の把握が必要である。高ビリルビン血症の鑑別の最初は直接ビリルビン優位か,間接ビリルビン優位の上昇かを鑑別することにある。間接ビリルビン優位であれば,まずは溶血性貧血と高度の肝障害がないか,また薬剤やアルコール摂取歴を確認することが重要である。直接ビリルビン優位であれば,肝細胞逸脱酵素(トランスアミラーゼ),胆道系酵素の検査結果を確認する。トランスアミラーゼ上昇が優位であれば,肝実質性高ビリルビン血症として肝障害の原因検索を進める。胆道系酵素上昇が優位であれば,胆汁うっ滞の存在が疑われるため,肝内/肝外など閉塞機転の検索を進める。高ビリルビン血症を呈する疾患の一部には緊急に処置を要する病態も存在するため,速やかに鑑別を行い,特に急性かつ高度の肝障害や閉塞性黄疸などを診た際には,必ず専門医への紹介を行う。
詳細
Differential diagnosis of jaundice
莖田 昌敬 檜垣 實男
愛媛大学大学院医学系研究科循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座