臨床精神医学第52巻第6号
統合失調症と攻撃性
電子書籍のみ
- 永倉 暁人・他（東京都立松沢病院）
- 発行日：2023年06月28日
- 〈抄録〉
統合失調症の患者では暴力的犯罪リスクがオッズ比2 ～ 7程度に上昇することが疫学研究によって示されている。攻撃性に寄与する因子として，幻覚や妄想といった比較的短期間で変動する陽性症状だけでなく，合併する反社会性パーソナリティ障害や物質使用障害など，一般集団と共有するリスク因子が報告されている。幻覚妄想状態であっても暴力に至る患者は一部に限られることから，近年では妄想の内容に着目した研究や，怒りの情動や道徳的認知による媒介に焦点を当てた研究も行われている。攻撃性の予防と治療は，
患者本人と周囲の人の双方を守る点でも極めて重要である。
詳細
Aggression in schizophrenia
永倉 暁人＊1,2 今井 淳司＊1 針間 博彦＊1
＊1地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立松沢病院
＊2順天堂大学医学部精神医学講座