臨床精神医学第51巻第5号
医療領域で働く心理職の心理的ストレス要因に関する質的検討―臨床経験年数の観点から―
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- 中島 香澄・他
- 発行日:2022年05月28日
- 〈抄録〉
本研究では,医療領域で働く心理職の心理的ストレス要因の違いを臨床経験年数の観点から検討した。対象は全国の病院に勤務する心理職32名であった。心理職として働くうえでの心理的ストレス要因やその対処方法などについて半構造化面接を行った。対象者を臨床経験年数により初学者/中堅者群と熟練者群の2群に分けた。面接内容を質的に分析し,群ごとにカテゴリーやサブカテゴリーの出現頻度を算出したところ,《病院システムの問題》,《多職種連携・チーム医療の問題》,《心理職としての専門性とアイデンティティの問題》等の6つのカテゴリーと17のサブカテゴリーが抽出された。2群間の比較では,初学者/中堅者群は《多職種連携・チーム医療の問題》が多く,熟練者群は,《心理職としての専門性とアイデンティティの問題》の頻度が多かった。以上より,臨床経験年数によって,頻度の多い心理的ストレス要因が異なることが示唆された。
詳細
Qualitative study on psychological stressors among clinical psychologists working in medical field according to the number of years of clinical experience
中島 香澄*1 岩田 悠花*2 村上 尚美*3 山崎 里紗*4 岩滿 優美*3
*1東海大学文化社会学部
*2川崎市北部地域療育センター
*3北里大学大学院医療系研究科医療心理学
*4国立がん研究センターがん対策研究所がん医療支援部