臨床精神医学第51巻第5号
精神科における剖検・CPCの意義
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- 河上 緒(順天堂大学)
- 発行日:2022年05月28日
- 〈抄録〉
臨床病理検討会(clinical pathological conference:CPC)は,剖検後に行われる,臨床-病理双方向型の検討会である。その主たる意義は,最終的な病理診断および死因の詳細を問うことであるが,一例の臨床病理学的知見が積み重なり,疾患概念の確立や病態解明の手掛かりとなることがある。近年,神経画像をはじめとする臨床診断技術の発展は目覚ましいが,画像で示されていた異常所見が標本観察によって形あるものとしてイメージできるようになり,脳病態への理解を深めることができる。リスク遺伝子の発見が相次ぐ精神神経疾患において,個々の変異例に対し,実際の脳における病変の局在,質的・量的変化を検証し,疾患特異的な特性を視覚的に捉えられる可能性があり,剖検・CPCの果たす意義は今後ますます増していくことが予想される。
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The significance of clinical pathological conference in psychiatry
河上 緒
順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学