臨床精神医学第50巻第11号
強迫症(強迫性障害)の長期的展望
電子書籍のみ
- 松本 佳大・他(京都府立医科大学)
- 発行日:2021年11月28日
- 〈抄録〉
強迫症(強迫性障害)は再発と寛解を繰り返しながら罹病期間が長期におよぶことが多く,人生全体を視野に入れたうえでの支援が必要である。また,強迫症はストレスとの関連性が示唆されており,就学,就労,妊娠,子育てといったライフイベントが強迫症の再発や悪化に関わることもしばしばである。就学・就労による強迫症状悪化時には学校,職場環境がどのように強迫症状に影響を及ぼしているかの評価が重要である。また,挙児希望については妊娠,子育てによって日常生活に起こり得る変化と現在の強迫症状がそれらに及ぼす影響を事前に患者と検討し,それを考慮しての治療目標設定や妊娠,子育て時に症状が悪化した場合に薬物療法を実施する可能性についても事前に検討しておくことが望ましい。同じ強迫症といっても強迫症は不均一な症候群で,さまざまな病態が個人の中でも混在しており,症状を分析したうえで最適と考えられる治療を選択していく必要がある。
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Longitudinal course of obsessive-compulsive disorder
松本 佳大 阿部 能成
京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学