臨床精神医学第50巻第11号
血管性認知症の長期展望
電子書籍のみ
- 長田 乾・他(横浜総合病院)
- 発行日:2021年11月28日
- 〈抄録〉
血管性認知症は,脳血管障害を基盤とする認知症の総称で,脳梗塞,脳出血,くも膜下出血などを発症後に認知機能が低下する脳卒中後認知症,多発性ラクナ梗塞や高度な白質病変など脳小血管病に起因する認知症,心房細動,鬱血性心不全,徐脈,主幹動脈の高度狭窄などに関連した低灌流性認知症,さらに脳血管病変とアルツハイマー病の病理が併存するアルツハイマー病の病理を伴う血管性認知症(脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症)など多彩な臨床病型を呈する。脳卒中を予防することで血管性認知症の予防や進行阻止につながることから“treatable dementia”と呼ばれ,脳卒中の再発予防が重要である。疫学研究では,脳卒中後認知症は,認知症を呈さない脳卒中慢性期症例と比較して,血管性危険因子を多く有し,脳卒中再発例が多く,さらに生命予後,機能予後とも不良である。
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Lifelong perspectives of vascular dementia
長田 乾 髙野 大樹 山﨑 貴史 加藤 文太
横浜総合病院臨床研究センター・神経内科