臨床精神医学第50巻第11号

薬物依存の長期的展望

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  • 小林 桜児(神奈川県立精神医療センター)
  • 発行日:2021年11月28日
  • 〈抄録〉
    薬物依存の患者は短期間で治療から脱落しやすく,治療に当たって長期的展望を描くことが難しい疾患の一つである。治療継続が困難である理由の一つは衝動性の高さであり,その背景には衝動制御に不可欠な,共感的な他者との関係性の欠如,すなわち愛着障害がある。乱用薬物は患者にとって衝動や感情の制御に役立っているからこそ,断薬は困難なのである。したがって治療の初期段階は,性急に断薬を要求するより,信頼関係の構築を優先すべきである。定期的に通院できるようになったら,続く回復中期では,薬物ではなく人に頼る対処行動の習得と,地域において安心できる居場所の確保が治療目標となる。そして年単位で断薬が続いた後の回復後期では,遷延する多様な心身の不調感に対して新しいライフスタイルを確立することが課題である。このように薬物依存の回復過程を段階に分けて考えることで,長期的展望に立った治療を提供しやすくなるであろう。

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Long-term strategies for drug addiction recovery
小林 桜児
神奈川県立精神医療センター依存症診療科