臨床精神医学第49巻第5号
精神障害者におけるニーズの評価- Camberwell Assessment of Need-Japanese version(CAN-J)の特徴-
電子書籍のみ
- 鈴木 浩太・他(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域・司法精神医療研究部)
- 発行日:2020年05月28日
- 〈抄録〉
本研究では,包括型地域生活支援プログラムを利用する統合失調症者(利用者)197名を対象として,Camberwell Assessment of Need - Japanese version(CAN-J)を用いたニーズアセスメントを行い,その有用性を検討することを目的とした。CAN-Jには,環境要因,生活機能(活動),社会参加,心身の状態,支援継続に関する課題,行動に関する課題に関わる26項目が含まれ,利用者と支援者に各項目について「不要」,「支援済み」,「要支援」,「不明」の評価を求めた。CAN-Jの得点は,機能の全体的評定尺度との有意な正の相関関係が認められ,CAN-Jの収束的妥当性が示唆された。また,支援者よりも利用者において不要と評価する割合が高く,利用者自身の症状に関わる項目では,利用者よりも支援者で支援済みと評価する割合が高かった。つまり,顕在化していない問題を利用者は,支援者よりも過小評価している可能性があり,支援者はこれらについて利用者と十分話し合う必要があると考えられた。さらに,CAN-Jの利用者と支援者の評価の一致度と,利用者と支援者の関係性を評価するScale To Assess the therapeutic Relationship(STAR)の関係性を検討したところ,両者の間に有意な相関関係が示され,ニーズを的確に把握するうえでは関係性の構築が重要であることが示唆された。CAN-Jの活用により,利用者と支援者の話し合いを促進することは,よりよい支援の提供につながると考えられた。
詳細
Needs assessment for people with mental illness: the characteristics of Camberwell Assessment of Need - Japanese version (CAN-J)
鈴木 浩太*1,2 山口 創生*1 塩澤 拓亮*1 松長 麻美*1 藤井 千代*1
*1 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域・司法精神医療研究部
*2 四天王寺大学教育学部