臨床精神医学第49巻第5号
歯周病・口腔機能と認知機能低下との関係
電子書籍のみ
- 永谷 美幸・他(東京大学)
- 発行日:2020年05月28日
- 〈抄録〉
口腔の健康は,食を中心とした人々のQOL向上に欠かせない要素である。歯周病と認知機能との関係としては,歯周病原性細菌の感染による慢性炎症に加え,細菌やその分泌物が脳へ移行することや,脳のアミロイドβ蓄積への関与可能性についても報告されている。さらに,進行した歯周病は抜歯に至るが,残存歯数の減少は認知機能の低下に影響を与えており,認知症の発症リスクが1.9 倍に高まることも報告されている。「オーラルフレイル」とは口腔機能の些細な衰えを表す概念であるが,残存歯数の減少はオーラルフレイルのリスク因子の一つでもある。オーラルフレイルに陥ると,噛み合わせの減少に加えて,食べることに関する筋力が低下し,さらなる機能の衰えを引き起こす負のスパイラルを生じる。口腔機能の維持のためには歯周病予防やオーラルフレイル予防が重要であり,歯科医院でのプロフェッショナルケアと家庭でのセルフケアの両輪で対応することが可能となる。
詳細
Association of periodontal disease and oral function with cognitive decline
永谷 美幸 飯島 勝矢
東京大学高齢社会総合研究機構