臨床精神医学第49巻第5号
飲酒と認知症予防
電子書籍のみ
- 松井 敏史・他(大内病院)
- 発行日:2020年05月28日
- 〈抄録〉
適度な飲酒は体によいと一般に流布している。多くの観察研究で1 日2 ドリンク(純アルコール20 g)程度までの飲酒量で死亡率が一番低いことが示されてきた。この量はビール500 mL,日本酒1 合に相当する。一方,多量飲酒は明らかに健康被害を増大させる。高齢者の約15%に飲酒が関連した何らかの健康問題がありフレイルを促進する。認知症関連では認知機能低下を引き起こし,MRI上の脳萎縮性変化に加え,脳梗塞・深部白質病変といった血管病変が顕著である。かつては身体的・精神的ストレスの調整弁になり一定量に収まっていた飲酒が,退職や配偶者の死などにより無節制かつ過度になることで,逆に身体的・精神的ストレスを助長しうる。高齢者にとっては,社会的活動や仕事の継続など生きがいのある生活とともにある飲酒なのか,さびしいから,することがないから飲むといったライフスタイルを破綻させる飲酒なのかが「節度ある適度な飲酒」量を規定する。
詳細
Alcohol intake and its relationship to the risk of dementia in the elderly
松井 敏史*1,2 永田 あかね*1 須藤 珠水*1 松下 幸生*2 樋口 進*2
*1 大内病院東京都認知症疾患医療センター
*2 国立病院機構久里浜医療センター神奈川県認知症疾患医療センター