臨床精神医学第49巻第4号
精神疾患におけるAMPA 受容体PET の応用
電子書籍のみ
- 内田 裕之(慶應義塾大学)
- 発行日:2020年04月28日
- 〈抄録〉
精神疾患の病態解明・治療開発においてモノアミン仮説が限界に直面する中,2000年以降注目を集めているのがグルタミン酸神経系である。グルタミン酸の受容体の一つであるAMPA受容体に関しては,基礎研究において重厚なエビデンスが蓄積されているが,臨床家にとってはこの受容体に対する関心と理解はまだまだ不十分である。これまでAMPA受容体が精神科臨床研究の最前線に現れなかった理由は,生体脳におけるAMPA受容体を可視化できなかったことが主な要因と考えられる。しかし,今,新たな扉が開かれようとしている。ヒト生体内のこの受容体を可視化する陽電子断層撮影(PET)リガンドが世界で初めて開発され,2020年1月に横浜市立大学医学部生理学 高橋グループによってNature Medicine誌に発表された。このリガンドを用いることにより,精神疾患の病態生理の解明,新規診断および治療法開発が進むことが期待される。
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Application of AMPA Receptor PET imaging for psychiatric conditions
内田 裕之
慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室