臨床精神医学第49巻第4号

慢性疼痛の脳画像解析

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  • 臼井 千恵(順天堂大学練馬病院)
  • 発行日:2020年04月28日
  • 〈抄録〉
    現在,国内の慢性疼痛保有率は成人の22.5%,約2,300万人に上るといわれている。慢性疼痛患者は,その痛みのためにQOLが著しく低下し,日常生活に大きな支障をきたしている。近年,痛みの慢性化を考える際,脳機能変化の関与が注目されている。一次体性感覚野,二次体性感覚野,前帯状回,島,前頭前野,視床など痛みに関連する脳領域のいわゆる,“ペインマトリックス”や,さまざまな脳内ネットワークの機能の低下もしくは破綻に起因すること,下行性疼痛抑制系の障害などが痛みの慢性化の要因としてあげられる。今回は,2017年に国際疼痛学会が示した,慢性疼痛の中でもnociplastic pain(侵害可塑性疼痛)について述べる。Nociplastic painとは,末梢侵害受容器の活性化を引き起こす実質的な組織損傷,または損傷の可能性のある事象の明確な証拠がないにもかかわらず,あるいは痛みを引き起こす体性感覚系の病変や傷害の証拠がないが侵害受容の変貌によって引き起こされる痛みと定義づけられている。線維筋痛症,複合性局所疼痛症候群,慢性腰痛,過敏性腸症候群,過活動性膀胱などが含まれる。この“証拠のない痛み”とされている病態を脳機能イメージングを用いて概観した。

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Neuroimaging of chronic pain
臼井 千恵
順天堂大学医学部附属練馬病院メンタルクリニック