臨床精神医学第49巻第4号
強迫症の脳画像解析による診断の可能性
電子書籍のみ
- 阿部 能成(京都府立医科大学)
- 発行日:2020年04月28日
- 〈抄録〉
強迫症は不均一な症候群で,さまざまな病態の症状が個人の中でも混在し,症状・病態が時期によって変化する。国際共同研究グループENIGMAによって皮質下脳領域の体積・皮質厚・皮質表面積の大きなサンプルサイズの構造MRI画像解析が行われたが,強迫症の病態を特徴づける構造的異常は検出できなかった。データ駆動的に判別機を作成する研究も行われたが判別の性能は低く,構造画像に診断的価値はないことがわかった。機能的MRI画像解析は撮像方法が施設・研究によって大きく異なり,大規模な研究の報告はまだない。強迫症を脳画像解析で診断するための課題として,真の基準をどう設定するか(疾患概念の再編成),疾患横断的研究(健常者との判別だけではなく,他疾患と判別できるか),縦断的研究(診断バイオマーカーではなく重症度バイオマーカーの可能性)が考えられる。
詳細
The possibilities of developing a neuroimaging diagnosis tool for obsessive-compulsive disorder
阿部 能成
京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学