肝胆膵第82巻第6号
今後の改訂に向けて:分枝型IPMNの診療方針選択のアルゴリズム-結節径の悪性診断能と悪性予測モデルの導入-
電子書籍のみ
- 清水 泰博,他(愛知県がんセンター)
- 発行日:2021年06月28日
- 〈要旨〉
2017年IPMN国際診療ガイドラインでは,分枝型IPMNの診療方針選択のアルゴリズムが改訂され,CT,MRI,EUSの評価で5 mm以上の結節の存在を手術適応とした.自験例の分枝型IPMN切除例の検討では,結節径は良好な悪性診断能を示した.しかしながら結節ない悪性例が存在し,このような症例を悪性と診断し手術適応とすることは,現在のアルゴリズムでは困難である.結節の存在や大きさのみではなく,複数の悪性予測因子を複合的に評価して治療方針や手術適応を決定する必要がある.筆者らは術前に評価した3因子(壁在結節径,主膵管径,嚢胞分枝径)を用いてすべての病型に適用可能な新しい悪性予測モデルを作成した.悪性予測能はROC 曲線下面積(AUC)=0.76に相当し,分枝型ではAUC=0.79と非常に高い診断能を示した.アルゴリズム改訂に際しては,複数の予測因子からなる悪性予測モデルの導入も考慮されるべきと思われる.また混合型の取り扱いを厳密に規定する必要がある.
詳細
For future revision of the algorithm for the management of BD-IPMN –efficacy of malignancy prediction model consisting of multiple factors–
清水 泰博*1 山上 裕機*2 真口 宏介*3 廣野 誠子*2 夏目 誠治*1 奥野 正隆*1 川勝 章司*1 原 和生*4 肱岡 範*5 柳澤 昭夫*6
*1愛知県がんセンター消化器外科
*2和歌山県立医大第2 外科
*3手稲渓仁会病院消化器病センター
*4愛知県がんセンター消化器内科
*5国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科
*6京都第一赤十字病院病理診断科