肝胆膵第82巻第6号
High risk stigmata 非切除例の予後
電子書籍のみ
- 酒井 新,他(神戸大学)
- 発行日:2021年06月28日
- 〈要旨〉
国際診療ガイドライン2017年改訂版(International Consensus Guideline 2017 : ICG2017)では,high-risk stigmata(HRS)のいずれかを有するIPMNはそれ以上の精査不要で切除が推奨される.しかしながら,IPMNは高齢者が診断されることが多く,切除に躊躇することは少なくない.そこでわれわれはHRSを有するが手術をせず,経過観察を行っているIPMN患者の予後を明らかにすることを目的として,多施設共同後ろ向き観察研究を行った.対象患者は101例で,5年全生存率は74%,5年疾患特異的生存率は91%であった.HRSの項目ごとの検討では,それぞれ主膵管径10 mm以上と5 mm以上の結節あり単独では,有意に予後不良ではなかった.一方で,主膵管径10 mm以上かつ5 mm以上の結節あり,10 mm以上の結節ありで有意に予後は不良であった.
詳細
Clinical outcome of conservatively managed pancreatic intraductal papillary mucinous neoplasms with high-risk stigmata
酒井 新*1 増田 充弘*1 小林 隆*1 山田 恭孝*1 田中 雄志*1 岡部 純弘*2 平田 祐一*2 塩見 英之*3 中野 遼太*3 児玉 裕三*1
*1神戸大学大学院医学研究科内科学講座消化器内科学分野
*2加古川中央市民病院消化器内科
*3兵庫医科大学肝・胆・膵内科