肝胆膵第82巻第6号
IPMN併存癌の特徴-予後,遺伝子異常など通常型膵癌と比較して-
電子書籍のみ
- 辻前 正弘,他(神戸大学)
- 発行日:2021年06月28日
- 〈要旨〉
膵癌はIPMNと関連の有無に基づき「IPMN関連膵癌」と「通常型膵癌」に分類される.IPMN関連膵癌はIPMN自体が癌化する「IPMN由来浸潤癌」とIPMNとは離れた位置に膵癌のできる「IPMN併存癌」に分かれる.診断技術の進歩によりフォローされるIPMN症例が今後も増加することが予測されるため,IPMN関連膵癌のリスク層別化と分子生物学的特徴の理解が必要となる.われわれの手術例を用いた検討ではIPMN併存癌は一見悪性度の低そうな分枝型IPMNを有する膵臓,とりわけ分枝型IPMNの多発する膵臓を背景に発生することが多かった.さらにIPMN併存癌は臨床的予後,KRAS変異の頻度やKRAS活性型アミノ酸置換の検討において通常型膵癌と大きな差異がないことが示唆された.
詳細
Clinical and molecular biological features of IPMN concomitant with PDAC, compared to conventional PDAC
辻前 正弘*1 増田 充弘*1 池川 卓哉*2 田中 雄志*1 芦名 茂人*1 酒井 新*1 小林 隆*1 塩見 英之*1 外山 博近*3 児玉 裕三*1
*1神戸大学大学院医学研究科内科学講座消化器内科学分野
*2日本赤十字社神戸赤十字病院
*3神戸大学大学院医学研究科外科学講座肝胆膵外科学分野