肝胆膵第78巻第3号

肝性脳症と認知症の鑑別診断の必要性−認知症疾患診療ガイドライン2017,認知機能低下の定量的検査法−

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  • 稲村 圭亮,他(東京慈恵会医科大学附属柏病院)
  • 発行日:2019年03月28日
  • 〈要旨〉
    2017年に改訂された「認知症疾患診療ガイドライン2017」から,認知症と鑑別が必要な内科的疾患として肝性脳症が記載された.肝性脳症は肝障害により,意識障害をきたす重度の認知機能障害(顕性肝性脳症)から軽微な認知機能障害(潜在性肝性脳症)まで幅広い状態像を呈する症候群である.精神科領域ではこれらの状態像は,せん妄ないし「治療可能な認知症」(広義の認知症)に位置づけられる.肝性脳症に伴うせん妄状態や認知機能障害は,その原因疾患の治療により治癒も見込めるため,アルツハイマー病に代表される脳の変性や神経細胞の脱落に伴う狭義の認知症と鑑別が求め
    られる.本稿では,「認知症疾患診療ガイドライン2017」に基づき,これらの概念および鑑別に有用な定量的評価尺度を呈示し,その介入手法の一端を述べる.

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Diagnostic guidelines for dementia and assessment of cognitive functions
稲村 圭亮*1 繁田 雅弘*2
*1東京慈恵会医科大学附属柏病院精神神経科 
*2東京慈恵会医科大学精神医学講座