肝胆膵第78巻第3号
肝硬変における亜鉛補充療法の意義−窒素代謝異常改善および肝性脳症予防効果−
電子書籍のみ
- 片山 和宏(大阪国際がんセンター)
- 発行日:2019年03月28日
- 〈要旨〉
肝性脳症の原因は多岐にわたるが,なかでもアンモニアの果たす役割は大きい.肝硬変において血中のアンモニア濃度が上がる原因の一つに,亜鉛欠乏による尿素回路機能低下がある.実際に高アンモニア血症を伴う肝硬変例への亜鉛補充療法は,肝性脳症や高アンモニア血症改善に有効性を示す.近年,肝臓でのアンモニア代謝機能低下が,比較的早期の肝硬変における分岐鎖アミノ酸欠乏などの窒素代謝異常の原因にもなっていることが認識されるようになっており,肝硬変に対する亜鉛補充療法は,顕性肝性脳症に対する治療としてだけではなく,窒素代謝異常改善や肝性脳症予防としての効果も期待されつつある.
詳細
The implications of the treatment of liver cirrhosis with zinc supplementation -the improvement of nitrogen metabolism and the prophylaxis of hepatic encephalopathy-
片山 和宏
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター・臨床研究センター