肝胆膵第78巻第3号
シャント性肝性脳症の治療− IVR(B-RTO)−
電子書籍のみ
- 中澤 貴秀,他(中沢内科医院)
- 発行日:2019年03月28日
- 〈要旨〉
門脈-大循環シャントを基盤とする肝性脳症(シャント性肝性脳症)に対するバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(balloon-occluded retrograde transvenous obliteration:B-RTO)のシャント閉塞成功率,脳症再発率,肝予備能,偶発症,予後についてB-RTO 40症例を検討した.シャント成功率は86%で成功群における脳症再発率は13%のみと低率であった.治療後Child-Pugh scoreおよびALBI scoreによる肝予備能改善が得られた一方で20〜30%の症例で食道静脈瘤および腹水の増悪が認められた.これらの偶発症はバルーン閉塞時の肝静脈楔入圧高値と関連していた.B-RTOはシャント性肝性脳症に対して極めて有用であるが肝静脈楔入圧をモニターしながら慎重に実施し,圧の動向によっては時にシャントの一部を温存する必要もある.
詳細
Balloon-occluded retrograde transvenous obliteration for portosystemic shunt encephalopathy in patients with liver cirrhosis
中澤 貴秀*1,2 田中 賢明*2 魚嶋 晴紀*2 日高 央*2 國分 茂博*2,3
*1中沢内科医院
*2北里大学医学部消化器内科学
*3新百合ヶ丘総合病院消化器内科・内視鏡内科