肝胆膵第78巻第3号
肝性脳症患者の動向−過去と未来の疫学的知見−
電子書籍のみ
- 中山 伸朗,他(埼玉医科大学)
- 発行日:2019年03月28日
- 〈要旨〉
肝不全は,急性ないし遅発性肝不全と慢性肝不全に分類され,前者では肝細胞障害型,後者ではシャント型を中心とした肝性脳症がみられる.また,慢性肝不全の代表疾患である非代償性肝硬変では,間欠性,持続性の脳症とともに潜在性脳症も臨床的に問題となる.これら肝性脳症の疫学的実態は,急性肝不全に関しては,厚生労働省研究班の全国調査によって明らかになっている.一方,慢性肝不全における肝性脳症の実態は不明であった.しかし,同研究班はACLFの全国調査を開始しており,このタイプの肝不全に関しては実態が徐々に明らかになりつつある.ただし,慢性肝不全でもchronic decompensationを呈する疾患の実態は明らかでなく,その解明は今後の課題となっている.
詳細
Recent status of patients complicating hepatic encephalopathy based on nationwide surveys
中山 伸朗 持田 智
埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科