臨床精神医学第45巻第7号

ひきこもりと自己受容・自己肯定感の臨床

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  • 斎藤 環(筑波大学)
  • 発行日:2016年07月28日
  • 〈抄録〉
    ひきこもり事例はしばしば自己中心的という意味で自己愛的とみなされがちであるが,そうした認識は誤りである。彼らの自己愛は「プライドは高いが自信はない」という乖離をはらんでいる。理想は高いが自己評価は低く,ときに「自分は生きていてもしかたがない」などと訴える場合もある。しかし自殺に至るケースは稀で,これは彼らの自己愛がある程度健康であることを示している。筆者はこうした捻れをはらんだ彼らの自己愛を「自傷的自己愛」と呼んでいる。H.コフートはこうした自己愛の障害を,母親の養育態度によるとしたが,筆者はひきこもり状態のもとで自己愛が退行した結果と考えている。ひきこもりの治療的支援においては,この自傷的自己愛の修復と成熟が必須であるが,そのためには重要な自己対象,すなわち家族以外の親密な友人や仲間との出会いと,SOC(首尾一貫感覚)の強化が必要となる。

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Clinical experience with self esteem of “Hikikomori”
斎藤 環
筑波大学医学医療系社会精神保健学