臨床精神医学第53巻第4号
うつ病と血液脳関門機能低下
電子書籍のみ
- 松野(鈴木) 仁美・他(日本医科大学)
- 発行日:2024年04月28日
- 〈抄録〉血液脳関門(Blood brain barrier:BBB)は脳と血流とを隔てる血管バリア構造の主要な構成要素であり,血液からの成分を選択的に透過し,脳機能に重要なアミノ酸やグルコース濃度を適切に保つ一方で,脳の代謝物・老廃物を排出し,中枢神経系の恒常性を維持している。さらにBBBは脳を病原体や毒性物質などの侵入から守る役割も果たしている。近年の研究から,うつ病の発症には脳内の炎症反応が関わることが示唆されている。本稿では慢性ストレスによる脳内の炎症反応(神経炎症)にはBBBの機能低下が関与しており,メカニズムとして血管内皮細胞増殖因子が重要な役割を果たしていること,それが少なくとも一部のうつ病の病態となることについて,筆者らの研究成果を中心に紹介する。
詳細
Blood brain barrier disruption in the pathophysiology of depression
松野(鈴木) 仁美*1 功刀 浩*2,3
*1日本医科大学先端医学研究所病態解析学部門
*2帝京大学医学部精神神経科学講座
*3国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部