臨床精神医学第53巻第4号
ヒト血液単球由来ミクログリア様細胞を用いたリバーストランスレーショナル研究
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- 久良木 聡太・他(九州大学)
- 発行日:2024年04月28日
- 〈抄録〉近年,さまざまな精神神経疾患の病態において脳内炎症の関与が注目されている。特に,脳内免疫細胞ミクログリアがそのキープレイヤーとなっている可能性が示唆されている。九州大学精神科分子細胞研究室(以下当研究室)では十年来ミクログリア活性化異常に着目した精神疾患の病態治療仮説を提唱してきた。ヒトでミクログリアの活動性を探る代表的な方法として死後脳の解析やPETを用いた生体イメージング技術が用いられているが,こうした方法だけではミクログリアのダイナミックで多様な分子細胞レベルの活動を十分に捉えることは困難である。当研究室では,ヒト血液単球由来ミクログリア様(iMG)細胞を作製する技術を開発し,間接的にミクログリア活性化を分子細胞レベルで評価するためのリバーストランスレーショナル研究を推進してきた。本稿では,このiMG細胞の有用性および国内外において行われている最新の研究について紹介する。
詳細
Reverse-translational research using human monocyte derived microglia-like (iMG) cells
久良木 聡太*1 稲嶺 翔吾*1 扇谷 昌宏*1,2 加藤 隆弘*1
*1九州大学大学院医学研究院精神病態医学
*2旭川医科大学解剖学教室