臨床精神医学第52巻第12号
「超」個別化iCBTの開発から社会実装へ
電子書籍のみ
- 豊本 莉恵・他(京都大学)
- 発行日:2023年12月28日
- 〈抄録〉
うつ病は広く知られた疾患であるが,その複雑な病態にはいまだ解明の余地があり,効果的な予防・治療方策の実現が喫緊の課題とされている。心理療法,特に認知行動療法(CBT)は,うつ病の予防と治療において堅実なアプローチとなっており,そのエビデンスが蓄積している。1990年代以降は,インターネットを活用したCBT(iCBT)の開発・研究が進み,アクセシビリティが向上した。しかし,うつ病の病態は多面的で個人差が大きいため,一般的なアプローチがすべての患者に適用できるわけではない。このため,近年では症状や個人特性などに合わせた段階的なケアや個別的なアプローチの必要性が強調されている。本稿では,個別化アプローチに焦点をあて,iCBTに関するこれまでの知見を提供し,当研究チームによるスマートフォンCBTの開発と個別最適化研究を紹介する。加えて,これらのアプローチを社会に実装する試みについても取り上げ,個別化iCBT開発のための洞察を提案する。
詳細
Development and implementation of “super” personalized iCBT
豊本 莉恵*1 田近 亜蘭*1 坂田 昌嗣*1 羅 妍*1,2 古川 壽亮*1
*1京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康増進・行動学分野
*2京都大学大学院医学研究科医学教育・国際化推進センター