臨床精神医学第52巻第4号
保険診療におけるクロザピンのあるべき位置づけとは
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- 片山 成仁(成仁病院)
- 発行日:2023年04月28日
- 〈抄録〉
諸外国に比べてクロザピン導入が進まない日本。入院長期化の問題の解決策として有用であるため,平成30年度診療報酬改定から,改定ごとにクロザピンを優遇する加点評価項目が追加された。そして令和4年度診療報酬改定において,体制が大きく変更された。精神科救急入院料が,精神科救急急性期医療入院料・精神科救急医療体制加算・精神科急性期医師配置加算の三階建てに分解され,三階部分の精神科急性期医師配置加算を算定するためにクロザピン導入が必須となった。クロザピン導入がない,または少ない場合は従来と比べて大幅に診療報酬が減額される。クロザピン患者の導入にはCPMS登録や血液内科との連携など壁がある。導入時には入院を要するため,患者の同意取得にもハードルがある。「緊急度・重症度の高いケースを24時間断らず受け入れる」という精神科救急本来の機能を存続させつつ,クロザピン導入を進めるにはどのような診療報酬体系とするべきかについて論じた。
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The ideal position of clozapine in insured medical treatment
片山 成仁*1,2
*1成仁病院
*2日本精神科病院協会医療経済委員会