臨床精神医学第52巻第4号
クロザピンを患者に届けるためにできること
電子書籍のみ
- 矢田 勇慈(岡山県精神科医療センター)
- 発行日:2023年04月28日
- 〈抄録〉
日本でクロザピンが市販されて14年経つが,適切なタイミングでクロザピンが届けられている地域はほとんどない。治療ガイドラインでは治療抵抗性統合失調症に唯一の適応薬であるクロザピンの早期導入が強く推奨されているが,日本のクロザピン普及率は約6.1%であり,エビデンスに基づかない診療の結果,過少使用・導入遅延・地域差という現状が浮き彫りとなっている。先行研究からクロザピン導入の障壁は4 つのドメイン(治療者・患者・医療機関・処方規制)が多層化したものとされるが,打開策は確立しておらず,現場任せであるため,患者不利益となる状況が続いている。400例以上のクロザピン導入経験を持つ当院における患者説明の工夫,そして岡山県における安全かつ効率的な地域連携体制モデル(Multi-hub and Spoke model)について概説する。
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Approaches to improve clozapine underuse
矢田 勇慈
岡山県精神科医療センター