臨床精神医学第52巻第4号
オープンダイアローグで統合失調症の発症予防は可能か?
電子書籍のみ
- 大井 雄一(筑波大学)
- 発行日:2023年04月28日
- 〈抄録〉
近年注目される「オープンダイアローグ(以下OD)」が統合失調症の発症を予防する要因について,その成り立ちを支えた知見を紹介し考察する。ODは,精神病状態や統合失調症を含むさまざまなメンタルヘルス上の問題の成り立ちに心理社会的要因が重大な影響をもたらすことに十分に留意され,開発されてきた。ODそのものが優れた心理療法であると同時に,ODは患者や家族等のネットワークがもつ個別のニーズに対し適切なリソースを柔軟に動員するプラットフォーム機能を提供し続ける仕組みでもある。ODはネットワークのもつ対処の力を増進し,「極度のストレスに対する反応」としての精神病状態に軽減や緩和が訪れる。その結果として,慢性化のリスクが減じ,統合失調症の発症予防に寄与していると考えられる。
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Does open dialogue approach prevent the onset of schizophrenia?
大井 雄一
筑波大学医学医療系社会精神保健学