臨床精神医学第51巻第12号
外来森田療法を施行されコロナ不安が改善した病気不安症の1症例
電子書籍のみ
- 半田 航平・他(東京慈恵会医科大学)
- 発行日:2022年12月28日
- 〈抄録〉
今回外来森田療法を施行され改善しているコロナ不安を主訴とする病気不安症の1症例を経験したので報告する。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機に病気不安が出現・悪化したので当院当科を初診した。神経質性格を基盤に症状への「とらわれ」の機制を認め外来森田療法の適応と考え,月1 回・1回30分程度の診察で森田療法的助言を行った。病気不安の裏側には健康でありたい欲求が強いと読み替え,不安を抱えつつ建設的な行動を広げるよう助言した。するとピアノやウォーキングを少しずつするように行動が変化していった。コロナ不安自体はわずかに軽減した程度であるが建設的な行動は増えた。治療が進むと,自身の老化と病,妻の介護と死,息子の自立と孤独が話題となった。老いを「あるがまま」に受け入れるプロセスが今後必要であろう。
詳細
A case report of illness anxiety disorder with the chief complaint of corona anxiety, which has been improved by outpatient Morita therapy
半田 航平*1,2 舘野 歩*2 布村 明彦*1,2 繁田 雅弘*2
*1東京慈恵会医科大学附属第三病院精神神経科
*2東京慈恵会医科大学精神医学講座