臨床精神医学第51巻第9号
正常な不安と不安症の境界
電子書籍のみ
- 山田 恒(兵庫医科大学)
- 発行日:2022年09月28日
- 〈抄録〉
COVID-19流行下の診察室では,以前より不安について語られることが多い。さまざまな不安について,これは普通なのか,病的なのかを尋ねられることも増え,判断に迷うことも少なくない。DSM-5の診断基準などを参考にすると,正常な不安と不安症の境界については,症状の持続性,過剰性,社会的・職業的機能障害の有無がその境界線を形作っていると考えられるが,その境界は曖昧で,複雑な問題が重なっている場合もあり,個々のケースで熟慮する必要がある。特に,不安が過剰であるかの判断が,文化的な文脈の諸要因を考慮しながら診察医によってなされる必要があるため,精神科医は社会情勢と健康衛生に対する幅広い知識を持ち,情報を更新していく必要があると考えられる。
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Boundary between normal and pathological anxiety
山田 恒
兵庫医科大学精神科神経科学講座