臨床精神医学第51巻第9号
新型コロナウイルス感染症に関連する不安や恐怖
電子書籍のみ
- 翠川 晴彦・他(筑波大学)
- 発行日:2022年09月28日
- 〈抄録〉
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連する不安や恐怖の研究では,さまざまな指標や尺度が用いられているが,コロナ禍では平時よりも多くの人々が強い不安を抱えており,女性や若年者,社会経済的な問題を抱えている者などではとくに注意が必要であることが明らかにされている。また,COVID-19自体への恐怖に関しても,新型コロナウイルス恐怖尺度(FCV-19S)など複数の心理尺度による測定が試みられており,女性において強いことが知られている。こうした不安や恐怖は,感染対策行動につながる一方,受診控えや依存行動,閉じこもりや活動性の低下,嫌悪・差別・偏見などにつながるため,コロナ禍のメンタルヘルス対策における大きな課題となっている。問題の解決にあたっては,一般的に不安に効果的とされるような介入に加えて,適切な情報提供や孤立や孤独を防ぐための取り組み,金銭面を含めた十分な社会的支援が重要である。
詳細
Anxiety and fear in the era of COVID-19
翠川 晴彦*1 太刀川 弘和*2
*1筑波大学附属病院精神神経科
*2筑波大学医学医療系臨床医学域災害・地域精神医学